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「誰にも言えない秘密」
誰にも言えなかった。
まだ恋か分からないし、とか、自分なんか釣り合わないし、とか、そんなことばっかり考えて、本人には愚か、友人にも、誰にも言えなかった。

だんだんと片想いは拗れていって、すれ違うだけで胸はいっぱいになり、目が合った気がするだけで心臓は止まりそうになった。

嫌いな食べ物も、話を聞いてる時の癖も、彼女が通り過ぎてった後の残り香も、全部覚えている。誰かと話していた、彼女の初恋の話だって。

好きすぎて伝えられなかった。
自分は狂ってるんじゃないかって。彼女にとって迷惑なんじゃないかって。

でも本当は、彼女に嫌われるのが、突き放されるのが怖かっただけなのかもしれない。誰にも言えない、なんて勝手な逃避だったのかもしれない。

6/5/2024, 2:22:49 PM