何かの特別になりたい
この計画だってきっとまた失敗する。でも数十分もあれば確実な効果を得られるが失敗したら身体機能が失われる、お手軽でハイリスクな方法だ。
歪な輪っかを作ってみて、どうにも勇気が出なくてプラプラと揺らしてその様子をみる。これをどこかに吊るして、もういないあなたを思い出せばちゃんとできるのだろうか。
時間薬だと言う、そんな戯言を大声で叫んでおいて悲しみもしない他人とは違う。寄り添うフリをして傷口を広げる人たちにかける言葉も善意もないのだ。痛くて苦しくてどうしようもない私は他人なのだから、そう他人なのだから、近づかないで。
結局、渡してくれなかった小さな箱を受け取った。
あのときから私は壊れてしまった。ラッピングは綺麗なままで、有名なブランドのロゴがあって、色んな記憶が浮かんでは消えてを繰り返す。見たら分かるのにそれらしく嘘をついて、何か演出を考えていたのも知ってるのに、分かりやすいから知らないフリしたのに。なんで。
上品な色の箱にスパンコールが散りばめられて星空みたいなんだ。白いリボンは、なんだっけ、星雲だったかなあれみたいで綺麗だよ。別に星空に思い出なんてないけど、帰るときはいつも暗い時間だったから一緒にみる機会は多かったね。そういう何気ない日常を意識したのかな、私よりロマンチストだからあり得そう。女々しいやつめ。
「…私より先に行かないでよ」
【題:Midnight Blue】
8/22/2025, 10:21:41 PM