冬至。

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「本気で楽しくないのにむやみに笑うな」
そう言って不機嫌に彼は俺に言い放った。
これは癖だからしょうがない。
楽しくなくても面白くなくても場を和ませるために俺は笑う。
気持ちはそこには無くても笑うカタチは作れる。
表だけでうっすら笑って気持ちは剥がれ落ちて。
心も色を失って。笑って笑って。
それでその場が平和ならばそれでいいのではないか。
それなのに俺が笑うたびに彼は不機嫌になるのだ。
「へらへらするな」
「本当は笑いたくもないのだろう」
無表情で言い放つその言葉に戸惑い、そして苛立ちもした。
「ちゃんと楽しくて笑ってる」
「おまえは…」
少しの間を置いて射抜くように見つめられる。
「侮辱されても笑ってる」
咄嗟のその言葉にハッとして噛み付くようにでも静かに答える。
「笑って何が悪いのさ」
そうしないとやっていけない。
むかついても傷付いても笑って笑って。
そうやってやり過ごしてここまで来たんだ。
そうしないと自分が可哀想だろ。
「そんなの悪いに決まってる」
「お前には関係ないだろ」
「それだと…お前の心はどうなる。お前の気持ちは」
尚も真っ直ぐに見つめてくるその瞳に耐えれなくて何も言えなくなる。
「自分に嘘をつくな。笑いたくない時は笑わなくていいんだ」
そんなの無理に決まってる。
それじゃあ世の中上手く渡っていけないんだよ。
でもなんで。
お前が俺より辛そうな顔をするんだ。


                  (スマイル)

2/9/2026, 9:57:42 AM