『夢じゃない』
憧れのあの人が目の前にいる。
憧れのあの人が私に愛を囁いている。
それはまるで夢のような日々。
何もかもが私の思い通りになる事が、何故か潜在的に理解できる。
きっと次にあの人は、あの言葉をかけてくれる。あの人は、私を強く抱き締め、求めてくれる。
そして急に理解してしまう。
世界はこんな思い通りになるほど簡単では無いことを。
自分の思い通りになる世界を私は知っている。
しかし、心地よい日々を手放すまいと、私は強く念じ始める。
「これは夢じゃない。夢じゃない。夢じゃない」
だが、私の抵抗虚しく、深く沈んでいた意識は、為す術なく浮上し始めた。
また、思い通りならない世界が始まる。
8/8/2025, 1:58:00 PM