サムザ

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Amazonで欲しいものを購入したときほど、宅配が待ち遠しいことはない。
待ち遠しすぎるあまり、入浴中に玄関のチャイムが鳴った気がして、ビチョビチョに床を濡らしながら玄関に行き、
しんとした玄関を見て、なんだ空耳かとがっかり。(この格好でどうやって受け取るつもりだ、とその時気づく)

秋風の吹く頃になると、そんな待ち遠しい気持ちを読んだ和歌を思い出す。
額田王という、西暦600年ごろを生きた女性だ。

君待つと我が恋ひをれば我が宿の簾(すだれ)動かし秋の風吹く 

→田園の中にある小さな家。女性が机に頬杖をついて誰かを待っている。そう、愛しの恋人。
ふっ、と簾が揺れた。
あの人かしら…!
期待に揺れた女性は戸口を振り向くが、
誰もいない。ああ…秋風だったのね…しゅん。


高校時代これを古典で習った時、
気になる相手からの連絡を今か今かと待ち、何度も携帯を手に取ってしまう、そんな気持ちは今も昔も変わらないのだと思った。

でもそれにしたって、秋風と風呂で聞いたチャイムの空耳を一緒にしたら、額田王も怒るだろうなあ。

11/15/2022, 6:00:39 AM