繊細な花
「君を温室の中で育てる花のように、僕の愛で包み込んで守るから・・・僕と結婚してくれないか?」
真冬に本来なら咲いていないはずの、真っ赤なバラの花束を持ってプロポーズした彼。
雪景色に映える赤い花を私は・・・
ーバサッ
雪の中に放り投げた。
ポカンとする彼に、ごめんと謝って、
「私は温室で育つような繊細な花じゃないの。野生で生きる強い野花が好き。誰かに守ってもらうような弱い花にはなりたくない」
と告げる。彼の静止も聞かず、背を向けて歩き出す。
いつか私の隣に立つ人は、きっと私よりも強い人。
ーそのくせ、道端に咲く野花が好きな人。
そんな人に出会いたい。
6/25/2023, 1:07:31 PM