君は昔から歌うのが好きで
何かの合間でも歌っていたね。
それが僕の日常になっていて
次は何かな、なんて楽しみにしていた。
ある日僕は聞いてみたんだ
どうしていつも歌うのか、って。
そうしたら君は
歌が上手くなりたいのもあるけれど
あなたが聞いてくれてるからだと
そう言っていた。
一人でも歌える君なのに
僕が聞き手だから
毎日のように楽しく歌っていたんだなんて
少し照れくさくて
とても嬉しかった。
物も少なくなって引っ越したワンルームで
僕は仏壇にと手を合わせた。
今日は君の命日。
長い事一緒にいた僕達は
離れ離れになってしまったけれど
君との思い出と君の歌は僕の心の中で生き続けている。
今日は君との結婚記念日。
君の大好きだった僕の歌を
この日は歌うから
どうか安らかに眠り
黄泉の世界で僕の事を待っていてください。
そして今度は
僕と君で歌を紡ぎましょう。
お題【君が紡ぐ歌】
10/19/2025, 6:16:31 PM