「あったかーい……」
温かくて白くてすべすべしていて。凍てつく寒さの中、私はそれを両手で包み込んで頬ずりをする。
「ちょっと」
「ふへへ、いいじゃんこれくらい」
カナトに怪訝そうな顔で見られながらも、私はそれをやめられない。
「あー、ずっとここのままでいたい……」
通学途中のファミマの前。こんな寒い冬の日には、ほかほかの肉まんが一番だ。
ひゅうっと木枯らしが吹く。
「さぶっ」
「早く早く」
カナトがこちらに手を差し出す。指先の赤くかじかんでいる。手袋をしていないのは、さっきまで私と手をつないでいたから。
「俺も寒い」
「やだ。カナトの手、冷たいんだもん」
【お題:ずっとこのまま】
1/12/2024, 10:45:31 PM