『これをいつも楽しみにしてるんだ!』
彼が泣きながら喚いた。
子供じゃないんだからと私は呆れるが、言葉にはしない。その後どうなるかすでに経験しているからだ。
『そんなに泣かないでよ』
私は優しく声をかける。(仕方なくである)
『30年いつも楽しみにしてるんだぞ!』
彼は涙ながらに感情的になっている。普段はこんなじゃないのだけれど、余程これにはこだわりがあるようだ。
『はい』私はそれを山の上にさした。
それは、国旗がついた爪楊枝。今日はイタリアの国旗だ。
『ありがとう』そう言うとニコニコしながら食べ始める。
そんなに嬉しいのだろうか。私は疑問に思いながら、ため息をついた。
私の鞄の中にフランスと日本の国旗が顔を出している。
11/30/2022, 11:20:34 AM