目が覚めると、そこには20cm程の妖精のような生き物が僕を囲うようにして立っていた。
「ラララあなたは丸いのよ」
「ラララ世界はいくつも交差してるのよ」
「ラララ紙と神は紙一重」
目の前の誰がそれを発しているのかは分からなかった。全員が同じように、口をパクパクさせ、笑っていた。
「ラララ鼠と狐の嫁入りだ」
「ラララ朝の次には何が来る?」
「ラララ光あれば影がある」
その大勢のうちの誰かが言っているようにも聞こえたし、全員が言ってるような気もした。もしかしたら、それは目の前の妖精から発された言葉では無いのかもしれない。
とにかく、状況が読めない。なぜ、こんなところに居るのかも、目の前の生き物が何で何を伝えようとしているのかも全くもって分からない。
「ラララ地下に落ちたら原罪を償え」
「ラララ出口のない洞窟は何だ?」
「ラララ全ては繋がり、途絶えてる」
僕は焦りと恐怖から、一心不乱に前に走り出した。目の前にいる妖精に構うことなく、しっかりと踏み込み力強く走った。
心臓が痛むまで全力で走り続けると、先程の声は消え、白い霧のようなものに包まれた。
一安心し、僕はそこで仰向けになり、息を整えた。とりあえず、あそこから逃げ出したのは正解だった。あそこは人が居て良い場所では無い気がした。
体感時間で10分ほどそこで休み、立ち上がって歩き出そうとすると、またあの声が聞こえてきた。
「ラララ2度言えば1度と同じ」
「ラララ君は丸いし、ここも丸い」
「ラララ真理は間違えを犯さない」
気づけば、僕は先程の妖精の群れに囲まれていた。
3/7/2025, 4:08:35 PM