白糸馨月

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お題『小さな勇気』

 クラスメイトに話しかけたくてたまらない人がいる。
 彼女はたぶん、私と同じものが好きみたいだから。彼女のリュックに推しがデフォルメされたアクリルキーホルダーがぶら下げられているのを見た時から気になって仕方がない。
 でも、私と彼女とは所属するグループがちがう。私がいるところはアニメは見るけれど、ただ『見る』だけでグッズを集めたり、二次創作を見たりなんてしない。
 私はグッズを集めることも二次創作も見るのだが、誰にも内緒にしている。
 だけど、やっぱり気になって仕方がない。

 私はある時一人になったタイミングで、クラスメイトに話しかけた。
「もしかして、●●好きなの?」
 その瞬間、彼女は目を見開いたかと思うと、にこっと笑って恥ずかしそうにこく、と頷いた。
「えーっ、マジで私も!」
 思わずクラスメイトの手を両手で握ってしまう。距離を詰めすぎただろうか。
 だけど、クラスメイトも
「■■さんが好きとは思わなかった……」
 と言いながら、その後は推しについて語り合った。実際こんなに好きなことについて語り合える相手なんていなかったし、すごく楽しかった。
 やっぱり勇気は振り絞ってみるもんだなと思った。

1/27/2025, 11:48:02 PM