【君と一緒に】
最初の記憶は君と出会った時
ボクと同じくらい小さなその手で
ボクのことを抱えて抱きしめてくれたよね
そして、ボクに“レオン”って
名前をつけて呼んでくれたよね
ボク、凄く凄く幸せで
体の奥がポカポカするのを感じたんだ
それから、君はどこへ行くにも
ボクを連れて行ってくれて
「ずっと一緒にいてね」
そう言っていたんだ
大丈夫だよ、ボクは君のことが大好きだからね
ずっと一緒だよ
君が大人に近づくにつれて
ボクの体は少しずつ動かなくなっていった
もう昔みたいに走れなくなったし
ごはんも食べられなくなった
それでも、君の姿を見ると嬉しくて嬉しくて
すぐにでも君の側に行って撫でて欲しいと
そう思うんだ
ある日、お昼寝から起きたボクは
いつもの様にごはんをもらいに行く
でも、おかしいんだ
ボクがいくら、ごはんをねだっても
いくら、君の周りを周っても
君はボクに気づかない
まるで君にはボクが見えてないみたいに
君がボクのお気に入りのクッションの方に歩いて行く
それにボクもついて行く
「レオ、ン?」
君が不意にボクの名前を呼ぶ
返事をしても君は気づかない
どうしたのかなって君の顔を見ようとしたら
君の前にはお気に入りのクッションの上で
横たわっている“ボク”がいた
そっか、ボク、死んじゃったんだ
だから、君には何も聞こえてないし
見えてなかったんだ
「ごめん、ごめんね…レオン」
君は泣いて、そう言っていた
泣かないで、ボク、君と一緒にいられて
家族になれて幸せだったよ
何度も何度もそう言うけど君には届かない
気づいた時にはボクは冷たい雨が降る場所にいた
周りにはボクの他にも沢山の犬や猫たちがいた
その子たちが言うにはここは雨降り地区というらしい
寒くて寒くて凍えそうな場所
この雨は残して来てしまった
大切な誰かの涙が雨となって降っているらしい
きっと君が泣いているんだとそう思った
少しずつ少しずつ前へ前へと進む
進んだ先は草原が広がる開けた場所だった
「〔いらっしゃい、雨降り地区抜けられたんだね〕」
近くにいた猫がそう言う
『〔ここは?〕』
ボクはそう問いかける
「〔ここは虹の橋前の草原
みんな、ここで過ごしながら
大切な誰かを待っているんだ〕」
『〔そうなんだ、ボクもいて良いかな?〕』
「〔もちろん、ほら、行っておいで〕」
『〔ありがとう〕』
ボクはずっとここにいるよ
そして、いつか君と一緒にあの虹の橋を渡るんだ
だからそれまでに沢山、思い出を作って来て
君のお話、楽しみに待っているから
参照:「虹の橋」
作者: エドナ・クライン=レキー
1/6/2025, 1:11:39 PM