「周りの魔法は!?」
「えっと、全体に魔法感知、奥に生命探知、1番奥は魔法感知して自動で閉まるようになってる扉みたいなのがあると思う」
「いつも通りってとこだな、ブチ破るぜ」
「うん!」
俺は長く怪盗をしているが、ここ5年程で助手をつけるようになった。
あ"?勿論腕がなまったからじゃねえよ、魔法の位置が分かると好きに暴れられてクソ程楽しいって分カったからな。
スリルを楽しむ頭のネジ外れた怪盗達とは一緒にしネェで欲しいぜ。俺は堅実にボコしてぇんだ。
ンでその助手ってのがこのユマ。チョっと前まで姉貴に頼まれて保護してた3人のガキの1人だったが、こいつは俺の手伝いをしたいって家出てかなくてよ、じゃあ役に立てよとこうして連れて来てる。
どうなっても自己責任だカらな!
「あの、あの、ちょっと速くて…っ」
「あ?固定してあるんだから落ちねェよ静かにしてろ」
「だ、だけど怖くて…」
はァ…マジかよコイツ面倒クセえな
「あの、あの、ちょっと速くて…っ」
ユマは、ダイルさんに抱えてもらって移動している。どうせ戦闘が始まると毎回そのへんに放り出されるのだけど、体温が伝わってくるし声に吐息が混じるし、とにかく近すぎて緊張してしまう。
それに合わせてこの速さ!心臓バクバクで頭ぐるぐるしてしまう…。
「あ?固定してあるんだから落ちねェよ静かにしてろ」
小声ですみませんっ、と謝る。
「だ、だけど怖くて…」
チッ、と舌打ちが聞こえて体がビクッとした。めんどくさくてごめんなさい。もう付いてこなければよかった。
ギュッ。
え?
腕の力を強くしてくるものだから、ユマはもう今日が命日なのかと思った。
「ちゃんと掴まってろ!」
大事にされているのかな。
…でも、ユマの心臓はもうだめかもしれない。
9/20/2024, 11:02:08 AM