はなればなれ
終業式の帰り、彼とミスドに寄った。
「4月からオレたちも受験生か」
「お互い東京の大学に行けるようにがんばろうね」
いつものように他愛もない話をして、家路についた。
家に着くなりスマホが鳴った。持っていたカバンからスマホを取り出しタップする。私は制服のままベッドに腰を下ろした。
「さっき言えなかったんだけど……」
言いかけて珍しく彼が黙っている。
「どうかした?」
「……実はさ、父親の転勤が決まって4月から東京なんだ」
「え」
ここから東京までは新幹線で1時間半。
「1年、離れちゃうけど」
「そうだね。でも私も東京の大学に入ればいいんだし」
「良かった。同じ大学に入れればいいよな」
「うん。がんばろうね」
直接会うことはできなかったけど、私たちは頻繁にビデオ通話で話した。
それから半年がたち秋も深まる頃。
「実はさ、大学決まったんだ」
決まったというわりには浮かない顔の彼に不安がよぎる。
「良かったじゃん。おめでとう!」
「それが、言いにくいんだけど」
「え、どうして?」
「体育大に行くことにしたんだ」
さすがに同じ大学は無理だなって思った。
本当に私たちは、はなればなれになった。
11/16/2024, 12:21:07 PM