泣かないで と 距離 です。
泣かないで
「すみませんでした」
涙を流しながら、キミは頭を下げる。
「何とかなったし、大丈夫だよ」
安心させようとキミに笑顔を向けるけど、キミの涙は止まらない。
「俺も、キミくらい、仕事に慣れてきた頃にミスをしたことがあってね。上司に助けてもらったんだ」
「…そうなんですか?」
「ああ。謝る俺にその上司は、誰にでもミスはある。次からはミスしないようにしてくれればそれでいい。俺はキミの上司だからね。ミスをした部下の面倒をみるのも俺の仕事。キミが頑張ってくれてるのはわかってるから、気持ちを切り替えて、また一緒に頑張ろう。って言ってくれてね」
「………」
「二番煎じで悪いけど…キミが頑張ってるのはわかってる。何かあったときにはフォローするから、ミスを恐がらず、仕事を一緒に頑張ろう。ね、もう泣かないで」
キミの目を見つめると
「はい。ありがとうございます」
目に涙を溜めたまま、キミは微笑むのだった。
距離
休み時間。
廊下で友達と楽しそうに話すキミを見かけた。
「あ…」
俺に気づいたキミは俺に手を振ってくれる。
俺はそれに片手を軽く上げ、応える。
これが俺とキミとのいつものやり取り。
仲の良い幼なじみ。として有名な俺たち。
2人で並んで歩いていても、周りからは、仲が良いね。
と言われるだけ。
正直言って、キミに片思い中の俺には、その言葉は痛い。
隣にいるのに、キミとの距離が遠く感じる。
幼なじみとして、隣にいられなくなる。
その恐怖は感じるけれど、このまま、ただの幼なじみでいるつもりはない。
誰かに取られてしまう前に、想いをキミに伝えようと思うのだった。
12/2/2024, 6:22:17 AM