刹那
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くゆる空
桃色いろどる
櫻狩り
春のけむりは
夕陽のなか
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冷たい夕空に舞う桜吹雪が煙のように見えた。
いつもの帰路。
いつもの岐路。
違うのはただ、ならび散るさくらの花。
刹那に感じた桜の煙たい香り。
燻製でもしているのだろうか。
隣のおじさんが作ったサーモンの燻製。
桜チップで作ったらしい。
柔らかな、甘い匂いが食欲をそそったものだ。
閑話休題。
ゆるりと目を細めて桜を見つめた。
幹は太くしっかりとしていて
枝には花が豊かに咲いている。
春だなぁとしみじみ思う。
また風が吹いて、地面に散った花びらが宙を舞う。
夕暮れで少し冷えた季節が頬を撫でた。
今日も輪郭が掴めない季節。
移ろうあの子の視線が春霖を呼び込んだ。
ポツと鼻先に雨粒。
傘を持っていない私は、早足に桜を追い越した。
4/28/2026, 11:54:12 AM