空はこんなにも青く澄み渡っているのに、私の心の中では、どこか重たさを感じさせる、曇り空が広がっていた。ふと、境界線のない、雄大な海を思わせる空に目が向いた。きれいだな、と感じた。同時に、爽やかな青が眩しくて少しだけ目を細めた。でも不思議と、目を背ける気にはならなかった。
時間が経つに連れて、空は表情を変えていく。朝が近づけば、消え入ってしまいそうなほど爽やかな青を。昼を回れば、ありとあらゆるものを燦々と照りつけてくる太陽の背景として、少し濃度を加えた青を。夕方には、宝石みたい光を放つ落陽に、自ら溶け込もうとするようなオレンジ色を。夜になれば、淡く光を反射する月に、一面に散りばめられてなお、小さな体で発光しようとする星に、寄り添って包み込むような穏やかな紺色を、佇んだ真っ白なカンバスに、鮮やかな色をした絵の具を、重ねるように広げていく。もし絵画であったのならば、その時々で、どこかの誰かが美しいと思った空は、不朽の作品みたいに残ったのかもしれない。でも、同じ空は二度とは来ない。いつの日か、美しいと感じた空は、もう戻っては来ない事実を、私たちは知っているから。
私たちだって同じだ。過去に戻りたくても、戻れはしない。心が常に晴れ渡っているわけでもないし、曇っているわけでもない。雨が降ったとしても、降りっぱなしなんてことは無い。だから今後、私の心が晴れた時、今は停滞してしまっているこの気持ちを忘れたくはない。
6/24/2025, 4:50:57 PM