シンビジウム

Open App

【きらめく街並み】

彼の最寄駅で電車を降りて、二人で並んで歩く帰り道。

「あ、」

何かに気がついた彼が声を上げた。
その目線の先を辿ると、きらきらとしたイルミネーションが辺りを照らしていた。

「綺麗」

厚手のコートに身を包み、両手をコートのポケットに突っ込む。
何日か前から着ているそのコートは、去年クリスマスプレゼントとして渡したものだった。
彼に似合う紺色のコート。

「綺麗だね」

私の首元に巻いているマフラーは、彼が去年プレゼントしてくれたもの。
少し派手な気がして、巻くのを躊躇してしまう深い赤色。
それでも、これを巻いているときの彼はどこか機嫌がいい。

「ねぇ、今年のクリスマスはどこ行こっか?」

イルミネーションを見上げながら、思わずそう言っていた。

12/6/2025, 8:17:05 AM