霜月 朔(創作)

Open App

愛言葉



君には恋人が居て。
私にも、想う人が居る。

それでも私は、
君を愛しているし、
君もきっと、
私を想ってくれている。

私と君との、
儚く甘い、この秘密の関係は、
決して赦されるものでは無いと、
分かってる。

だから、私と君は、
逢瀬の約束に、
合言葉を使うんだ。

アメジストとワイン。
二つの言葉を、
会話の隙間に、
そっと忍ばせる。

それが、二人だけの秘密の合図。

今夜、また二人で過ごそう。
ワインのように、
情熱の紅に染まりながら。

けれど、
アメジストがあれば、
きっと悪酔いはしないから。

君と私の関係は、
ワインに酔い痴れる様に、
罪深く、不確かなもの。
それでも、手放す事は、
出来ないから。

アメジストとワイン。
悪酔いを防ぐ、お呪い。
それは、
許されない二人の、
愛言葉。

10/26/2024, 6:43:04 PM