霜月 朔(創作)

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突然の別れ


病気や寿命で人が亡くなる。
…これは仕方のないことだし。
事故や怪我でで人が亡くなる。
…これも避けようもない事もある。
戦争や飢えや疫病で人が亡くなる。
…悔しいけど、どうしようもない時もある。

だけど。
誰かに殺される。
それは、遠い世界の出来事だと思ってた。

先輩が殺された。
友達からそう聞いた時。
俺は全く信じられなかった。
だって、あんなに優しい先輩が、
誰かに殺されるなんて、ある訳ないって。
だけど。
先生まで、青ざめた顔をして、
先輩の訃報を告げた。

その瞬間。
俺の世界は暗転した。

突然の別れ。
受け入れられる筈もない。
だって、先輩は。
さっきまで、そこで笑ってたんだ。
俺と、下らない冗談を言ってたんだ。
俺は泣き叫んだ。
狂ったかと思われる程に。
だけど、幾ら泣いても叫んでも。
悲しみが癒える事は無かった。

あれから何年か経った。
俺は、至って普通に暮らしている。

だけど。俺は…。
未だに街中や人波の中に、
探してしまうんだ。
…未だ憧れ続けている、貴方の面影を。

5/19/2024, 5:52:47 PM