希雲とわ

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2024/02/28(水)No6.『遠くの街へ』
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ある日、旅をしている女はある街に来た。
何日か滞在したがいつも太陽に照らされて街は明るく祭典をしているようであった。誰もが笑顔で歌を歌い、踊っているかのように足取りが軽い。
ある時、女は違和感を覚えた…。笑顔が溢れているのに笑っているわけではないし、話しかけても対応は冷たい。
しかし、他の街へ行くのだと宿の人に伝えると本当に心の底から笑ったように見えた。
不思議に思いながら行った次の街は、誰もが貧しい暮らしをしており、いつも雨が降っていてジメジメしていた。しかし、誰もが協力して過ごし、優しく接してくれた。
ところが、そこでは次の街へ行くと言った途端に対応が冷たくなった。そして、出発する時に舌打ちが聞こえたような気がした…。
次の街へ行くと、とある噂を聞いた。そこで女は、前の街で何故そのような振る舞いをされたのかを理解して鳥肌が立った。
《昔、ある街で内戦が起こった。始めは小さなものであったが段々と過激化して、小さな子供の命が奪われた…そのことに怒った雷様が、ある街を雨の街と晴れの街、虹の街の3つの街に分けてしまった。雨の街には、過激であった人を…、晴れの街には、内戦に無関心であった人を…、虹の街には、関係のない子どもや内戦を止めようとした人を…。そして、20日間そこに滞在した人を生贄にすると雨の街には数日間の太陽が、晴れの街には数日間の雨が与えられるという言い伝えができたのだそうである…》

2/28/2024, 12:21:29 PM