ヒロ

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あっちへウロウロ。こっちへウロウロ。
お惣菜屋さんの前で思案する。
コロッケにメンチカツ。
お店が変わってハンバーグに焼き鳥と、向こうの方には焼売か。
種類にお値段もそうだけど、家族の人数で割り切れるかも重要だ。

去年までは祖母も居たから六の倍数で揃えるのは大変だった。
亡くなってしばらくはよく、おかずを数えて、
「ろく……じゃないか。五でいいんだっけ」
と、お店の前で独りしょんぼりしたものだ。

それから半年もしないうちに、今度は祖父が入院、退院後は施設へと移ってしまい、またもや家にいる家族が減ってしまった。
今では四の倍数と、すっかりご飯のための買い物がしやすくなってしまったのがやっぱり寂しい。
幼い頃から六人家族でずっと過ごしてきたから、最近になって変わっていく日常に上手く付き合い切れないでいるのが否めない。

目ぼしいおかずをかごに揃え、ふと売り場を見れば、みたらし団子とお稲荷さんが残っていた。祖母の好物だ。
立ちはだかる人混みをすり抜け、さっとかごに確保する。
帰ったら仏壇にお供えしよう。
結局、家族を思う気持ちは何だかんだで変わらない。
この際だから、祖父の面会に持っていく手土産も探そうか。
レジへ向けた足を翻し、和菓子コーナーへと狙いを変えた。
祖父の好きな大福セットは残っているだろうか。
売り場が近付き、遠目に目当ての大福が並んでいるのが見て取れた。
よし、あれも買って帰るぞ!
楽しみに待っててね、おじいちゃん。


(2024/06/22 title:040 日常)

6/23/2024, 9:56:58 AM