恋物語

Open App


「おはよう」毎朝挨拶を交わす。
「おやすみ」おやすみのキスをする。
「行ってきます」行ってきますの挨拶。
「ただいま」帰ってきたことを知らせる。

彼と付き合ってもう5年目。
今日は5年目の記念日だ、仕事帰りにケーキ屋さんへ寄りケーキを2つ、買ってきた。

1つは私のショートケーキ。もうひとつは彼の好きなチョコケーキ。1年記念日に彼と行ったケーキ屋さんで買ったものだ。このお店を教えてくれたのは彼。
今や私はそのケーキ屋さんの大ファンだ。

四年目の記念日、彼と約束を交わした。
いつもの朝、彼はいつも通り「おはよう」と挨拶をして朝食を共に食べた。
いつも通り美味しい朝ごはん。でも、彼の様子が少し変だ。
そう思っていたら案の定変なことを言い出した。

「挨拶ってさ、俺聞くと幸せになるんだ。あぁ、今日も俺、生きてるなって思えるし、なにより君と居る証拠になる気がするから。だから、喧嘩しても離れていても、挨拶だけはしたい、な。」

何だ急に、、そう思ったけど彼の目は大真面目だった。
「わかった。」そう返して行ってきますの挨拶をする。

仕事中、突然かかった電話。宛先は『病院』。
仕事中にも関わらず私はスマホを手にとりすぐに出た。
どうやら彼がしんだらしい。
今日は変な日だ、

そういえば、小学生の頃「人の死ぬ日がわかる。」とかいう男の子がいたっけ、。
当然転校しちゃったしもうどこにいるかも知らない男の子、その子は彼と同じ目の色をしていた。
綺麗な茶色い目、ハーフとよく間違えられるような。珍しいほど綺麗な目。


2人分のケーキを食べながら男の子を思い出す。
『俺、挨拶好きなんだ!』そう言っていた男の子を。







形の無いもの

9/24/2024, 1:37:16 PM