渚雅

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時折ふと、思い出す。
マジナ
思い出の中のあの人が残した呪いを



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快挙と呼ばれるような、未来の人類にとって偉大な出来事というものは、存外なんでもない日常の中で 傍から見ればくだらないとも思える動機によって成し遂げられることもある。

そして、あまたの人間が空想上の夢物語として願ったその機械 タイムマシーンも一人の人間の欲望によってのみ作られた。


「ようやく、やっと、やり直せる」

仰々しいしい機械の前で一人囁く人影。己がつくりあげたその機器を愛おしいものと重ねるように そっと触れる。

数年の歳月をかけ築きあげられたマシーンは決して完成品とは言い難い改善点ばかりのプロトタイプ。望んだ時代に行くことは出来ても帰ることは出来ない いわば使い切りの転移装置であった。

研究者やメカニックなら製品の安定性と品質の向上を強く要求したであろうその道具を、発明者であるその人物は躊躇いもなく起動させた。


「君以外に意味なんてないから」

その言葉は冷たい大理石に落ち、やがて動いていた機械も起動をやめ 静寂だけが誰もいない部屋の中に佇んでいた。

7/22/2024, 11:04:24 AM