白亜の檻にて綴られるただ一つの詩
埋もれた原稿の片隅に残されていたような
靴跡塗れの絵空事
天蓋の中で書き殴った紛い物
遠い昔、そのまた昔、踏み躙られた無辜の殻
透明な蕾は涙を啜り
虚飾の色を吸い上げて
奈落より暗い花を咲かせた
誰も知らない御伽噺
けして叶えてはならない不思議の国よ
掠れた深淵を丁寧に
何度も重ねて周到に、確かに沈めたはずなのに
溢れる雫はこの顔を溶かして
望まない祝福を、夜明け前まで染め上げる
朝が来なければ良い
彼が来なければ良い
願ってはならなかった崩壊の序章
楽園は翻り、無垢な少女は突き落とされる
黒い花は踊り狂う
ただ一つの詩を携えて
(物語の始まり)
4/18/2025, 10:56:59 AM