#18 残暑の中心で泡だらけのアルコールを
「春と秋どこ言ったん?」
夏終盤、のはずのコンビニ帰り。「まじで」と付け足して唸る
こいつの背中をアスファルトを蹴って追っている。
目の前で揺られてるコンビニ袋には適当な夜ご飯と缶ビールが透けて見える。そんなことも忘れたのかまたこいつは
大きく袋を揺らすんだけど気づいても何も言ってやんない。
その上こいつは「これが地球温暖化ってやつですか」
とかまた的外れなことを抜かしやがる。馬鹿な癖して頭良さげに憎まれ口を叩くこいつと世間のヤツらを並べてコケにするのがスキップでこいつの後を追うこの私ってわけなんだ。
最近のお偉いさんは皆、お馬鹿さんだ。お偉いさんだけじゃない。メディアを全部全部鵜呑みにするお前らもだ。
朝のニュースでもなんでも地球温暖化だCO2だって馬鹿の一つ覚えみたいに言って世間は頷いても節電はしない。
けど私はそんな文句を言いたい訳じゃない。正直ただ皆の知らないことを知ってるなんて言う優越感に浸ってるだけなんだ。
だってこの暑さは地球温暖化でもなんでもない、あるポンコツな魔女のたった一つの失敗なんだから。
そのあるポンコツな魔女が知ったかぶりする世間を優越感で馬鹿にするなんていいご身分だと我ながら思うが生憎、戻す魔法も知らないんだからしょうがない。
夏が終わらない。
それは幸せな事だと思ってた。なのに結局、私たちには熱帯夜に溺れて文句を吐く現状しか残んなかった。
けどそんな文句を言ってくだらないことで笑えるのが意外と心地よかったりするんだって失敗したから気づけたよ。
とは言いつつも暑さの代償は大きい。
ハロウィンを取り戻す魔法をまた練習しないと。
8/17/2025, 2:47:07 PM