はなればなれ
離れる、という言葉を見るとボクは桜を思い出す。
でも同時に出会い、という言葉も桜を思い出す。
桜は人を離れさせ、出会わせる。
ボクは春になると桜が咲くことが楽しみだった。
桜を見ると、始まりと終わりを感じる。
出会いもあれば別れもある。
離れることもあれば合うこともある。
成長する人もあれば止まる人もいる。
桜はすぐに散ってしまうけど、満開になると人は笑顔になる。
散る瞬間だって、人は「綺麗だね」と言って、その下で花見をする。桜は何らかしら、人を動かす何かになっているのを感じていた。
ボクは桜見ると、一年の終わりを感じる。
けど、その反対で一年の始まりも感じる。
桜を見るとホッと暖かくなる。
けど、悲しい気持ちにもなる。
ボクは桜が咲く季節で人とはなればなれになった事がある。
その人は夢の中で沢山の桜に包まれながら笑顔で手を振って、桜と共に散りながら、こう言ってた。
「バイバイ」
その言葉と笑顔が忘れられず、桜を見る度に思い出して泣いてしまう。見たその日も、起きたら沢山泣いてて、初めて夢を見て泣いたっけな。
桜は喜怒哀楽関係なく、人の感情を動かす。
それが一年に一回あると思えば、大変なことだけど楽しいことにも感じる。
ボクはまた、桜を見る度に夢を思い出すんだろう。
あの人は優しくて、凄く強引で、博識で面白くて、人を動かすムードメーカーで、まるで桜みたいな人だった。
桜みたいに、綺麗に散ってた人だった。
最後まで綺麗な人だったなぁ。
なんて思いながら、ボクはボーッと外を眺める。
また、桜が咲く季節が来る。
まだ秋の冷たい風を感じながら、空を見上げて歩く。
冬すらまだ来てないのに、春のことを考えるなんて気が短い人だな、ボクは。
次は、どんな綺麗な桜なんだろう?
11/16/2024, 11:24:51 AM