闇があった。そこには。敗者となった仮面の群々を呑み込む闇が。
次々と呑まれ落ちていく。抗う力も逆らう術も、何もかもが打ち砕かれて。
落ちていって当然のことをしていた。それが敗者の運命。這い上がれることはできない。
生贄による甘い蜜を味わった後には。這い上がれたとしても、生贄はそこに無い。
ただただ辛い事実のみがそこにある。だから、闇に呑まれるしかない。
黒雷の鬼神の軌跡は滅びをただ遺すのみ。その滅びの後はただ闇が裂け目のように広がり、呑み込む。
妄執の幻影も足止めることはできずに、無意味に散らされた。最後に落ちていくのは仮面の群々を率いていた女王の仮面のみ。冷温の闇に浸からされながら。
決して温まることの無い冷めゆくだけの闇に。冷めゆく鉄のように冷たい闇に。
生贄を欲し、生贄を味わい、生贄を喪う。ただ、それに翻弄されるばかり。
壊れたマリオネットが紡ぎ出す闇の語りは、その半生を傲慢に語る。
対岸の火事のように、遠くを語り、近づいた時にはもういない。そして、為す術も無く焼かれてしまう。
小火のうちで消すことはできずに、火事の片鱗を語る。誰も理解することはできない。
嘲りは最初のうち。しかし、現実味を帯びて牙を剥く時。大火となる。そして、落ちていくのだ。
生贄による安楽を求めるとしても、いなくなる時のことを考えたほうが良い。
永久の不在が生贄に臨んだ時。その時こそ、闇は裂け目を生み出して呑み込もうとするのだからーー。
ーーすべては虚構の中。されど、現実へ至りかねない。妄想は現想へと変わりゆくーー。
11/23/2024, 12:31:36 PM