徒花

Open App

「逃れられない呪縛」

私はあの時、私を自分自身の手で
奈落に落とした。
そうきっとこれは呪いなんだ。

無知だった頃の私が自分自身に
掛けてしまった大きすぎる呪い

それに今でも苦しめられている
この呪いはきっと解く事ができない。
私はこの呪いを解く術を知らない。

あの日からずっと手足に枷を嵌めて
押し潰されそうなくらいの錘を身につけて
希望や未来なんて私にはない様な気がして、
まるで未来が決定されてるみたいで、そこに向かってただただ進んでいく事しか出来ないみたいだった。毎日、恐怖と不安と絶望感でいっぱいで、一日、一日経つごとに自分が消えていくみたいだった。忘れたいと何度願っても忘れられなくて、その代わりに大切な思い出ばかりが自分の記憶から消えていった。忘れたいと願うたび、一つ、また一つと大切な思い出が消えていった。

誰に言う事も口にする事も許されない
逃げたいと死にたいと何度も思った。
忘れる事も許されず、立ち向かい方も分からず、
逃れられず、きっと死なせてもくれない。

見えない鎖に繋がれて光一つ通さない小さな檻の中、私は逃げる事も死ぬ事も出来ず、その寿命が尽きるまで打ち勝つことのできない呪縛に少しずつ支配され侵食されて無惨に、惨めに朽ちていくのだろう。

5/23/2022, 2:34:03 PM