川柳えむ

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 丁度一年前のお祭りは、あなたと一緒に回れて嬉しかったな。
 着慣れない浴衣に履き慣れない草履。あなたは私に歩幅を合わせてくれて、ゆっくりと屋台を見て回った。
 それから、二人で見た花火はとても綺麗だった。空を色とりどりの花が埋め尽くして、まるで天空の花畑だって思った。いつまでも見ていたいと思うくらい、幸せな時間だった。

 楽しいことも、辛いことも、嬉しいことも、悲しいことも、良いことも、悪いことも、全部あなたが教えてくれた。

 それなのに、今、私は一人でここにいる。
 お祭りを、少し離れた場所から、一人ぼぅっと眺めている。
 なぜ一人でいるの? なぜ私は不幸なの?
 人混みの中にあなたの姿を見つけた。
 どうしてあなたは一人じゃないの? この不幸は誰のせい?

 定刻通り、大きな音と共に花火が打ち上がった。
 一輪の花が夜空を彩る。

「今、二回音がしなかった?」
「え、そう?」

 小さな花が手から放たれた。


『お祭り』

7/28/2023, 11:04:41 AM