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 ある2人の話であること。出来れば男女の視点を交互に書き出せると良い。心理描写は細かく、背景と動作も読み手にイメージしやすいように書くこと。説明ばかりでは飽きさせてしまう。分かりやすい表現も必要、例えを使ってより身近に感じさせられれば上出来。これを『ルール』にしよう。100日続けられたら何か変わるだろうか。続けた先にどんな結果が待っているのか、今から期待に胸を踊らせている。

「落とし物?」
 拾い上げた手帳の持ち主を探そうと表紙を広げて、つらつらと何かについて『ルール』が書いてあり私は目が離せなかった。人の手帳を覗くのは誉められた行為じゃないけど持ち主に関する情報が必要で、年季が入ったこれを探してるに違いない。白いノートを読み進めていく。
 1日目『寒さが身に沁みて』、n日目『枯葉』、『特別な夜』…
 ネタ帳らしく題名が書かれてそのあとに文章が始まっている。懐かしさを感じる気がするのはよく見るテーマだからだろうか。「」(鉤括弧)があるから物語。ルールにあった2人の会話だと思う。パラパラとめくり続けて
『何もいらない』、『雫』…
 断片的に目に飛び込んでくる文に変な胸騒ぎがする。決定的なのは『特別な存在』これは私の人形のことだ。まるでその日を間近に観察していたかのように、他のページも私と彼が体験してきたことが記されて…

「なに、これ…」
 ページの日にちは98日目に差し迫っていた。頭の中で警鐘がけたたましく鳴る。
 この先は、この先は見てはいけない。
 
そう頭が命令しているのに手はページから離れず98日目。

 『ルール』は私がこれを見つけてしまう話だった。

 そのあとはよく覚えていない。

4/24/2023, 11:19:54 PM