しずく

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 ふとした瞬間、過去に引きずり込まれてそのまま閉じ込められる。
 暗く濁ったその場所で頭抱えてうずくまりながら、過去の自分が見下ろしているのを感じてる。
 そこには息をしているモノクロの自分ばかり。
 ああ、息ができない。


ふとした瞬間 #214











 あはは、と楽しかったから笑った。
 その瞬間心のなかにいる何かが俺を嘲笑った。
 なににお前は笑ってるの?
 楽しいの?
 へえ楽しいんだ。
 心のなかで得体のしれないなにかがニヤついて、自分が自分じゃなくなっていく感覚。
 本物だったはずの笑顔は次の瞬間偽物の取り繕いになってる。
 あはは、と乾いた笑いを心のなかのそいつにしてみせて、現実世界の自分は相変わらずに楽しそうに笑えていただろうか。

4/27/2025, 2:00:33 PM