鴣渡鵺

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未だ弱まらない、目を刺すほどの光に照らされ、葉の一枚一枚が鮮やかに彩り、影を作る。

その真下の近くで耳を傾けなくても、自然と耳に届く音。命を振り絞るように、悲鳴みたいに鳴く音。
その中をゆったりと、まだ今を楽しみ心踊るように、人間にとっての夏の終わりを感じる音が混じっている。


9月が始まってしまった。
僕の夏休みは終わった。
そう。何もかも、終わったのだ。


蝉の声に上げていた顔を、地面に向ける。
滲む視界を、瞼で塞ぐ。
耳は、意識してその音だけを探す。
そうしていると、浮かぶのは全て君の笑った顔ばかりだった。


落ち着いた瞼を持ち上げる。
視界の先に、君はもう居ない。
けれど、


残された“それ”が、鞄の奥底で揺れた気がした。
もう一度、瞼を閉じる。
今度は、涙を振り切る為に。



『さあ、行こう。』

君が、僕の背を押した気がした。




(時間切れー もしかしたら続きます…
又は、書き直します。)


お題 夏の忘れ物を探しに

9/2/2025, 9:13:06 AM