るに

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無くなりやすくて、
無くしやすくて、
手が届いたと思うと消えて、
手が届かないと分かったら諦める。
そういう
ちょっとレアな秘密の場所。
じゃあどうやって行くんだって話だけど、
行き方なんてない。
ふとした時に行けて
ただ花が綺麗で
そよ風が気持ちよくて
たまに黒猫がいるだけ。
行きたい時に行けなくて
忘れた頃に行けちゃう。
それって結構すごいよなぁ。
フクロウに似た店員さんに
今日もその場所の特徴を話す。
どこにあるかも
誰が猫に餌をやってるかも
全然わからないから、
私はこうやって
信頼できる人に話していっている。
狐に似たあの人なら、知ってるんじゃないですか?
フクロウに似た店員さんにそう言われて、
そういえば話していないことを思い出した。
早足でお店を出て
狐に似た人に会いに行った。
そんな急いでどないしはったん?
向こうから来てくれるとは。
狐に似た人は
にこにこしながら私の後ろに立っていた。
千年は生きてるこの人なら
知ってるかもしれないという期待が
私の喋る速度を早くした。
んー、私そないな所聞いたことないかもやわ。
…って、あからさまにガッカリした顔せんといてや〜。
冗談やよ。私そこ知っとる。
連れてったろうか?
首が取れるくらい縦に振り
初めて行きたい時に秘密の場所に行けた。
"Good Midnight!"
狐に似た人にお礼を言い、
行き方も教えてもらった。
どこかの誰かさんにも教えてあげようか
迷ったけど、
今日はもう眠たいから。

3/8/2025, 1:39:33 PM