そのゲームは、エンディングを迎えた。
最近よくある、異世界転生ファンタジー且つ学園モノ、さらに悪役令嬢モノの乙女ゲーム、そのヒロインである悪役令嬢に私は生まれ変わった。そう気付いたのは定番のタイミング、幼少期だ。あまりの絶望感に、これ、ヒロインなのか悪役令嬢なのか分からんな……と現実逃避をした記憶が残っている。
絶望した理由、それはこのゲームはバッドエンドが多く、かなり高難易度ということで有名だったからだ。この悪役令嬢のヒロインはすぐ牢獄行きになる。さらに、選択をちょっとミスっただけでしぬ。マンボウの方がまだ生命力があるのではないだろうか。一応、公爵令嬢なのに。何でそんなにポンポンと牢獄に入れられてしまうのか。
そんな死にゲーを推しのためにやり込みまくった私は、現実となってしまったゲームの知識をフル回転させ、なんとかゲーム内でエンディングだった時間まで辿り着いたのだ。いわゆる逆ハーレムエンド。別になりたくて逆ハーエンドを目指したわけではなく、このエンドが1番平和なものだったからだ。
エンディングを迎えた学校で、今日も攻略対象者たちが私に近づこうと必死になっていた。
私は生き残ることが1番の目的であり、申し訳ないけれど攻略対象者たちに興味はない。勝つことの無い駆け引きをしている攻略対象者たちを見守るという、ゲームの殺伐さはどこいった?という気持ちになる平和な時間だ。もう行っていいだろうか。
不毛な争いをしている輪からそっと外れ、図書館へと向かう。本を読みに行きたかったのに呼び止められ、さらに放置されていたのだ。あの人たち、実は私に興味ないでしょう……。
図書館へ入ると、目の前にはたくさんの本が広がる。本は良い、この世界の色々なことを知ることができる。ゲームには学園しか出てこないが、学園の外にはまだまだ世界が繋がっていると実感ができる。公爵令嬢という身分ではあまり遠出が出来ず、自分の家の領地くらいしか行ったことはないが、せっかく異世界に生まれ変わったのだから、もっとこの世界を見てまわりたいのだ。
……もうゲームは終わったのだから、良いのではないか? 家出して、冒険者になって、色々な場所を旅するという密かな夢を目指しても。こんな死にゲーを頑張ったのだから、もう好きなことをしてもいいじゃないか。
「思い立ったが吉日! わたくし、冒険者になりますわー!」
早速明日にでも家出をしよう! ファンタジー世界だけあって、魔法が存在しているし、私もそれなりに魔法を使えるのだから大丈夫だ。
そしてまずは、今生で身についてしまったお嬢様言葉を直さないとね。
「ここではないどこか」
※相変わらず時間がなくて最後が雑で…。後で加筆
6/28/2024, 8:37:47 AM