たーくん。

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高校へ向かう途中にある、桜の木が並んだ歩道。
俺は幼馴染の歩幅に合わせて、ゆっくり歩く。
「桜、綺麗だね」
「ああ、綺麗だな」
幼馴染は桜を見て言っているが、俺は幼馴染を見て言った。
桜を見ているお前のほうが綺麗だよ……なんて恥ずかしくて言えない。
いつから幼馴染のことを、女性として意識するようになったのだろう?
多分、高校入学したぐらいからか。
幼馴染は可愛くて綺麗だから、誰にも取られたくないという気持ちが強くなったんだと思う。
「ねぇ、好きな人っている?」
「え!?」
幼馴染からの突然の問いに、声が裏返ってしまう。
「私はね……いるよ。好きな人」
幼馴染はこっちを見て、微笑む。
「だ、だだだ誰?」
「隣のクラスの田中君」
「……あー」
今度は空気が抜けていくような声が出てしまう。
隣のクラスの田中君といえば、バスケ部のキャプテンで女子からモテるイケメン。
そっか、イケメンが好きなのか……ははは……。
「魂が抜けたような顔してどうしたの?早く行かないと遅刻するよ」
「お、おう……」
ヒュ〜っと強めの風が吹く。
桜の花びらが散っていき、俺の恋も散っていった。

4/17/2026, 10:43:59 PM