『優希は勉強が出来て優しくて、気が使えて、皆の為に動ける人だよね。私にはない長所だなー、羨ましい〜』
ずっと羨ましかった。君は皆からそうやって評価されて、
私は君を見習えって言われて。なんで?私は私でしょう?確かに勉強は得意じゃない。誰かの為に動ける訳でも全てを受け止められる程優しくもない。でも、私には私の良さがある、そう母さんや父さんは言ってくれたよ?
私が明るく振る舞うのは、皆がそんな私を求めるから。皆が望む【スポーツ万能で明るく元気な明依】でいれば皆は私を捨てない。私を愛してくれるでしょう?でもね、周りからの君のような子が良い子だって、そんな声があるから君の幼馴染であることが、親友でいる事が、隣に立つ事が酷く息苦しくなる。でも誰にもあげたくない。
ズルいよね。
嗚呼、本当に君がウラヤマシイ
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「そういう明依はスポーツ万能で明るくて、場を盛り上げるのが得意で友達も多いよね。逆に私は明依が羨ましいよ笑」
本当にそう。私は貴女みたいにスポーツが出来て明るくて、友達がいっぱいで、皆に愛されてる訳じゃない。教室で私を呼んでくれるのは貴女だけ。でも貴女には貴女の名前を呼ぶ人が沢山いる、愛されている。その事を自覚する度に私は1人だって、胸が締め付けられたように痛むの。
私は皆の為に動いてるんじゃない。1人になりたくないの。
役に立てれば皆私を見捨てたりしないでしょう?私は愛されたいから、皆の言う事、求める事を受け止めるの。そうして皆が望む【優等生で優しい優希】を演じれば皆私を見てくれる、頼ってくれる、愛してくれる。でも、周りから明依みたいな子の方が一緒にいて楽しいとか、そんな声が聞こえると目の前が歪むの、エラーが起きたみたいに。
貴女の隣を幼馴染として、親友として歩くのは酷く困難で息苦しくて、でも誰にも譲れないの。ズルイのかな。
嗚呼、本当に貴女がウラヤマシイ。
『「所詮私達が抱くこの気持ちは、ないものねだり。」』
3/26/2023, 12:11:12 PM