前を歩くカップルは手を繋いでいる。追い越したいのだが、道幅が狭く追い越すチャンスがない。そのカップルが立ち止まり、繋いだ手を上に上げ、輪っかを作る。ふたりはわたしに笑顔を向ける。挙動不審になりながら、そのあいだを「すみません」と言いながら通ると、そこに産まれてこれなかったわたしの子がいた。おかあさん、手を繋いで。そう言って手を伸ばした。それに触れるとわたしの涙はとめどなくあふれた。水子神社に行く途中の出来事だった。
12/9/2022, 1:24:01 PM