夜空に懸かる満月を見上げると、ふと年の離れた友の顔が思い浮かんだ。そして、年甲斐もなく焦がれてしまう。彼のように、自由で大衆を楽しませる作品が自分にも書けたなら、と。それが如何に水中に火を求む真似だと分かっていても。
夜道を照らす満月を見上げると、ふと憧れの人の顔が思い浮かんだ。そして、痛いくらいの憧憬が僕に願わせる。先生のような、崇高で不変の美しさを持つ作品を自分も作れたら、なんて。そんなの、ないものねだりだって分かっているけれど。
『月下の羨望』
3/27/2023, 9:56:01 AM