コハク

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t「夜が明けた。」

君と過ごせるのは後どれくらいの夜をこえたあとだろうか。
契約で結ばれた関係の自分たち。特に何をすることなく二人同じベッドで眠りにつく。
隣で静かな寝息をたてる君。この契約が終われば狭く感じるこのベッドもずっと前のように寝やすくなるだろう。そう思うのに、今はこの狭さがちょうど良く感じてしまっている。
今更君がいなかったあの時に戻れるのだろうか。存外悪くなかった君との時間を、まだ終わりが見えていない未来を案じてしまっている。
いつの間にか君の顔が分かるくらい部屋が明るくなっていた。カーテン越しから照らされる室内に二人分の影がうつる。
あぁ今日もどうなるかわからない未来を憂いて寝不足なる。
そして、夜が明けた。

4/28/2025, 9:28:29 PM