川柳えむ

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「……え? 外白い……」
 外に白くて軽いものが、まるで羽根のように舞っている。
 少女は驚いた様子でそれを見ている。
「あれ。雪、見たことない?」
「あまり……」もう一人の少女の言葉に、彼女は雪を眺めたまま答えた。「私の故郷は、雪なんてほとんど降らなかったから……」
 故郷を思い浮かべる。
 そこは、暗く陰湿な雰囲気がして、好きじゃなかった。
 でも、そこに置いてきた、妹のことを思い出した。妹のことは大切だったから。
 雪のように無垢な笑顔が脳裏に浮かぶ。
 そうだ。近いうちに帰ろう。
 驚く妹の姿を想像して、少女の口元が緩んだ。


『雪』

1/7/2026, 10:33:22 PM