こひる

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『お金より大事なもの』

父からの教えがそうであって、僕は違っていた。
父は先月、交通事故で死んで、高校生の僕がこれから生きていくのに十分な遺産が残った。遺産相続するものは僕しかいない。
父は偶然に死んでしまう前から、僕にお金の使い方について、厳しくしつけた。でも、それは僕の考え方にはならなかった。
母方の親類のおじさんは僕を引き取ってくれて、後見人になってくれたが、優しかったおじさんが明らかに遺産目当ての態度に変わったことには驚いた。何かと「必要経費」を口実に通帳からお金を下ろしていく。

友人は優しかったが、優しさの種類が変わった。僕は遊興費のほとんどを支払うようになった。あいつらの笑い声は心底からのものではなく、作っているようにしか見えない。

世界が大きく変わった。不満を抱え不自由ながらも父に守られていた日々から、自由だか後ろ盾のない不安が僕を孤独にさせる。

父が死んだ道路の前に立つ。父は交通事故に遭う瞬間、僕のことを考えただろうか。いや、そんな余裕があったはずがない。「お金より大事なもの」まさか、こんな形で理解させられるとは。

3/8/2026, 12:58:24 PM