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何度コーヒーを飲んだだろう。背中合わせのまま、熱くて飲めないふりで時間を稼いだ。別れの季節が迫ることも忘れ、ケトルに映る後ろ姿に、安心していた。
最後、荷物になるからと寄越したスティックパックにプリントされていた「大丈夫、僕がついてる」。マーケティング戦略の一環に、何の意味もなくて。
それでも、今も冷めることなく引き出しの中に眠っている。

9/27/2025, 3:39:27 AM