「おかあさん、なんで泣いてるの?」
私の涙に勘づいた、5歳息子の鋭い眼差し。
とっさに
「〇〇くんといられて嬉しいからだよ」
と言った。
立派な嘘だ。
本当は、障害のある息子の激しい癇癪に疲れ切って、思わず涙した。
「お母さんが嬉しくて泣くのは初めてだね」
そう言って不思議そうに笑うので、私の感情は更にぐちゃぐちゃになった。
子供のせいにしたくない母親の私と、それを隠しきれなかった幼い私。そのどちらをも、息子が交互に見つめてくる。
ーーお母さん、隠しても僕にはわかるよ。
我が子の純粋な眼差しが、さっきよりずっと鋭く、心の奥に刺さってくる気がした。
10/15/2024, 1:59:52 PM