松坂 夏野

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それは生まれて一度も経験したことのない
出来事だった。

母に内緒で夜中外へ出た時とも、
学校へ行かず制服のままお出かけした時とも違う。

それらとは比べ物にならないほどの刺激。

私はこれまで道から逸れるようなことをせずに
ありきたりな言葉を使うと、
敷かれたレールを歩くだけの模範生だった。

それがいつからこうなってしまったのか
どこでレールを踏み外したのか、
今となっては分からない。

ただあの瞬間、それに惹かれてしまったのだ。

出会うべく出会ったかのように。
それはおとぎ話の中の主人公みたいに。

今日も私はそれを求めてただ歩く。
その行為をしたあとの罪悪感を消すように、
ただ、歩く。

そして今日も忘れられず、同じ過ちを繰り返すのだ。

あのお腹の奥底から燃えるような、刺激を求めて。


【忘れられない、いつまでも】
【辛ラーメンが、食べたくて】

5/9/2024, 1:45:53 PM