暖かい。
布団包まれて、隣りにある生き物の暖かさを感じていた。
愛おしい、あの子の温もり。
自分と、愛しい君の匂いを肺いっぱいに吸い込んで、吐き出す。
まだ時間はあるので、二度寝することを決め込んで、君を抱き寄せる。しかし、君は身体を起こし、布団の、私の腕の外にから出ようとする。
(まって、行かないで、まだ、、、)
手を伸ばす。
君は立ち止まって、なんだい、とその手に顔を擦り寄せた。君の頭をワシャワシャと撫ぜると、ふす、と君は鼻で笑い、
ガリっ
痛った!!
私の手を引っ掻いた。
「痛いよ〜まだ10時だよぉ〜?」
「みゃぁ〜」
愛しい君はたいそうお腹が減っているらしく、ご立腹だ。寝室のドアをガリガリと削っている。開けると、隙間からしゅたたっ!と、しなやかな身体を使ってリビングに一目散で駆けていった。
「うーーーん!良い天気だねぇ」
大きな伸びをする。
廊下の窓は、気持ちのいい強い日差しを招き入れていた。ゆっくりだけれど、きっといい休日がスタートした。
「なぁ〜〜ん」
廊下の先で、君が呼んでいる。
「はいはい!まずは朝食だよね!」
「みゃあん!」
今日は君と何をしようかな、なんて考えながら、軽い足取りで君の待つリビングに向かった。
お題:行かないで
10/25/2022, 6:41:01 AM