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ずっと、俺は孤独にたったひとりで死ぬんだと思っていた。

覚悟はしていたのに、人間とはいい加減で「適当に遊べる人がいたら」と煩悩に塗れた気持ちでマッチングアプリに登録した。

不埒な気持ちで始めたマッチングアプリだったのに、君と出会ってしまった。

メッセージのやりとりの段階で惹かれ、初めて会った時にはもう既に「好きだ」と思った。

回数を重ねる度に、愛おしさが増して「いい歳して」朝起きても、夜寝る時も君の事を考えた。

沼った俺は、君も同じ気持ちだという事が、言わなくても通じ合える関係だと思い込んだ。

君の全てが欲しくなる。分かるだろうと思い、わがままを言ったり、急に喋らないといった子供のような態度をとった。

優しい君は「どうしたの?」と、いつも丁寧に尋ねてくれた。

俺は更に甘えた。
ある日、心配させたくて「別れよう」と言った。

君の返事は「あなたがそう思うなら、それでいい」だった。

全身に痺れが走るほど驚いたのに、いい歳の俺は慌てふためく事も、泣いて詫びる事も出来ずただ立ち尽くし、そこから連絡を断った。

また夏がくる。あれから幾度目かの夏。

君と食べた物を見る度に、今でも思い出す。

君と過ごした一年はとても大切な時間だった。

結局、俺はひとりで死ぬんだろう。

だけど、君と過ごした時間があるから、きっとひとりじゃない。
今はそう思う。

題:君と出会って

5/5/2024, 3:59:19 PM