トレードマーク、だったかな。
いつも笑っている友人は、暑さなんて感じていないようで。
楽しげに、面白そうに、僕を観察してたっけ。
それでも、大切なことは綺麗にはぐらかして。
僕が戸惑うのを、笑って見守っているような奴だった。
ーーーでも、嫌みじゃないんだよなぁ。
友人は確かに変わってたし、意地悪だし、非常識だったかもしれない。
だけど、友人に救われたことは数多くあって。
だから僕にとって、親友と呼べる1人だった。
今はもう、どうしているのか解らない。
大人になった僕は、親友がいた町に行くことがなくなっていたから。
……だけど、この季節になると思い出すんだ。
”麦わら帽子”を背にした、不適で、意地悪で、誰よりも優しい、不思議な親友の姿を。
麦わら帽子
8/11/2023, 11:15:08 AM