呼吸の度に心音がなる
痛いくらいに胸がなく
もういいよ もういいかな
細い思考の糸ゆれる
けど
胸打つ力が 吹き込む吐息が
此処に居てくれと願うから
‹ここにある›
冷えたコンクリートを駆け出して
熱い砂浜に歓声が上がる
潮に涼む子供たちへ
日陰のままに声を掛けた
隣に引っ繰り転がる体は
疲労困憊眠りについて
引っ掛かるだけのサンダルが
心無さげに揺れている
‹素足のままで›
ぎりり関節のきしむ音
それでもどうか、と手を伸ばす
ばきり表皮のわれる音
それでもどうか、と口を開ける
朝日を背に振り返った貴方は
待ち焦がれた様に腕を開いた
ばちり接続のゆがむ音
それでもどうか、と足を踏み出す
ぎちり接続のくるう音
それでもどうか、と足を踏み出す
貴方に証明したかった
伝えたいことがあったから
ばつり、頭にアラーム音
ばつり、視界の機能停止
それでもどうか、と足を踏み出す
それでもどうか、と足を踏み出す
貴方を抱き締めてそして
ずっとそばにいる約束を
し
すると決めたから
警告音 警告音
機体の寿命は疾うの昔
それでも、それでも、どうか貴方に
ただひとつの約束を
‹もう一歩だけ、›
1枚の写真があった
何処かの国のお祭りのような
笑顔さざめく人並みの中
1人焦ったような顔があった
知っている顔の人だった
そんな場所にそんな時代に
居る筈の無い人だった
瞬く間にコマ送りの様に
人混みの奥へ消えていく
二度と相見えること無い人に
心底心底安堵して
お焚き上げの火へ放り込んだ
‹見知らぬ街›
8/28/2025, 9:10:12 AM