隣の人と手を繋ぐ。
その次の人がまた隣の人と手を繋ぐ。
そうしてその次の人も、その次の人も続いていき、何人も何人も隣の人と手を繋いでいく。
途中、どうしてもそりが合わなくて、互いに手を繋ぐことを拒否する人達が現れた。
それぞれの主張がぶつかり合い、どちらも一歩も引かないままだ。それに気付いた誰かが繋がっていた列から離れ、喧嘩をしている者同士の間に入る。
どうしたんだい? そんなに怒鳴り合って。
ああ、なるほど。君はこうしたいと思うのだけど、君は君で譲れない部分があるんだね。
仲裁者を挟んだ議論は続いた。いつの間にか手を繋ぎ合っていた全ての人達を巻き込んで、話し合いは広がっていった。
いったいどれくらいの時間を費やしたのだろう。果てしなく長い時間が過ぎていた。
けれどとうとう最後には、あんなに諍い合っていた者達が互いに納得しあい握手を交わした。
それはきっと、争う二人だけではどうにもできず、また仲裁を一番始めに買って出た彼だけではなし得ないものだった。
そうしてまた、隣の人と手を繋ぐ。
そしていつか、大きな輪になって。
世界がひとつになればいい。
【手を取り合って】
7/15/2023, 8:40:08 AM